ホームページやネットショップは、専門的な知識がなくても作り始められるようになりました。
テンプレートを選び、文章や写真、商品情報を登録することで、会社やお店のサイトを公開できるサービスもあります。無料で始められるものもあり、小さく事業を始めたいときには便利な選択肢です。
一方で、作り始めてから「必要な機能が有料だった」「希望する販売方法に対応できなかった」「別のサービスへ移したいけれど、そのまま引っ越せない」と気づくこともあります。
WordPressのようなCMSを使う場合も、自由に作れる範囲が広がる分、管理やメンテナンスを考える必要があります。
この記事では、無料の作成サービスとWordPressの違い、自分で作るメリット・デメリット、そしてプロに依頼するときに確認したいことを解説します。
無料でホームページやネットショップを作れるサービスとは?
ホームページ作成サービスは、ブラウザ上で文章や画像を編集し、サイトを公開できる仕組みです。
サーバーの準備やシステムの導入をサービス側が担うため、専門知識が少ない人でも始めやすい特徴があります。
例えば、ホームページ作成サービスのJimdoには無料プランがあり、独自ドメインの利用などはプランによって条件が異なります。Jimdo公式の料金・プラン
ネットショップ向けのBASEやSTORESには、月額料金をかけずに始められるプランがあります。ただし、商品が売れた際の決済手数料などは別に確認する必要があります。BASE公式の料金案内、STORES公式の料金案内
「無料で開設できること」と「費用をかけずに運営し続けられること」は、分けて考えましょう。
無料サービスを選ぶ前に確認したいデメリット
必要な機能が有料になることがある
無料プランで基本的なページを作れても、実際に使いたい機能まで含まれているとは限りません。
例えば、次のような項目にはプランの制限や追加料金が設けられることがあります。
- 独自ドメインの利用
- サービス側の広告やロゴの非表示
- ページ数や保存容量の追加
- 予約機能や会員機能
- 高度なフォームや外部サービスとの連携
- ネットショップの追加機能
- デザインを細かく変更する機能
「無料だから」という理由だけで選ぶと、必要な機能を追加した結果、想定より費用が増える場合があります。
始める前に、今必要な機能と、将来追加したい機能を整理しておくと判断しやすくなります。
サービス内容や料金が変更される可能性がある
利用しているサービスの料金や機能が、ずっと同じ条件で提供されるとは限りません。
無料プランの内容が縮小されたり、使っていた機能が有料プランに移ったりする可能性があります。サービス自体が終了する場合もあります。
これは無料サービスに限った話ではありませんが、無料で使い続けることを前提にしていると、変更時の負担が大きくなります。
長く使うサイトでは、始めるときの費用だけでなく、条件が変わったときにどう対応できるかも確認しておきましょう。
サービス終了や乗り換えで、作り直しが必要になることがある
別のサービスに移りたいと思っても、今のサイトをそのまま移せるとは限りません。
文章や商品データを取り出せても、デザイン、ページ構成、予約機能などは移行先で作り直しになる場合があります。
確認しておきたいのは、次の点です。
- 文章や画像を手元に保存できるか
- 商品や注文などのデータを出力できるか
- 独自ドメインを移行先でも使えるか
- ページのURLが変わる場合に対応できるか
- 解約後、いつまでデータを取り出せるか
特に、サービスから提供された無料のURLは、別のサービスへ持ち出せない場合があります。
独自ドメインは移転時に役立ちますが、それだけでサイトの中身まで移せるわけではありません。文章や写真の元データも、自分で保管しておくことが大切です。
WordPressなどのCMSとは?
CMSは、文章や画像などのコンテンツを管理し、Webサイトを更新するための仕組みです。WordPressは、その代表的なもののひとつです。
WordPressでは、テーマでデザインや表示方法を整え、プラグインで必要な機能を追加できます。WordPress公式の機能紹介
なお、ホームページ作成サービスにもコンテンツを管理する機能があります。「作成サービスかCMSか」という区分だけでは、それぞれの違いを十分に説明できません。
選ぶときには、運営会社が用意した環境を利用するのか、自分で契約したサーバーなどで管理するのかという違いが重要です。
この記事では、主に自分でサーバーを用意して使うWordPressを取り上げています。サービスとして提供されるWordPress.comとは、料金や管理範囲が異なります。
WordPress本体が無料でも、運営費は必要
WordPress本体は無料で利用できますが、通常はサーバーやドメインの費用がかかります。
構成によっては、有料テーマ、有料プラグイン、バックアップ、保守などの費用も必要です。ネットショップにする場合は、販売機能や決済サービスとの連携も考えなければなりません。
自由度が高いことはメリットですが、何でも無料で簡単に実現できるという意味ではありません。
作成サービスとWordPressの違い

| 比較項目 | ホームページ・ショップ作成サービス | 自分で管理するWordPress |
|---|---|---|
| 始めやすさ | 用意された画面や機能で始めやすい | サーバーや初期設定が必要 |
| デザイン | サービス内の編集機能やテンプレートが中心 | テーマや独自開発で調整できる |
| 機能の追加 | 提供されている機能や連携の範囲が基本 | プラグインや開発で拡張できる |
| システムの保守 | 基盤部分はサービス側が担当 | 自分または保守担当者が対応 |
| 費用 | プラン料金、手数料、追加機能など | サーバー、ドメイン、開発、保守など |
| 乗り換え | 移せるデータや機能に制限がある場合がある | 移行しやすい面があるが、構成によって作業が必要 |
| 独自の仕組み | サービスの仕様に左右される | 実現の幅は広いが、技術と費用が必要 |
手軽に始めたい場合は専用サービスが適していることがあります。独自の仕組みや業務との連携が必要な場合は、WordPressや別のシステムを検討する価値があります。
自分でホームページを作るメリット
最初の制作費を抑えやすい
文章や写真の準備、ページの作成を自分で行えば、外部へ依頼する範囲を減らせます。
事業の開始直後など、まず小さく公開して反応を見たい段階では、有効な方法です。
思いついたときに更新できる
営業時間や商品情報、お知らせを自分で変更できれば、更新のたびに依頼する必要がありません。
ただし、自分で更新できることは、自作だけのメリットではありません。プロに制作を依頼する場合も、更新しやすい仕組みを用意してもらうことは可能です。
自分のお店やサービスを整理できる
何を掲載するか考える過程で、お店の特徴やお客様に伝えるべきことが整理できます。
「誰に見てほしいのか」「何を問い合わせてほしいのか」を自分で考えることは、公開後の運営にも役立ちます。
自分で作るデメリットは、時間と対応範囲にある
作成にかける時間もコストになる
ページを作る時間だけでなく、使い方を調べる時間、写真や文章を整える時間、表示を確認する時間も必要です。
制作費を抑えられても、本来の仕事に使える時間が減る場合があります。
自作と外注を比較するときは、支払う金額と、自分が使う時間の両方を考えましょう。
見た目が整っていても、使いやすいとは限らない
きれいなテンプレートを選んでも、必要な情報が見つからなければ、お問い合わせや購入につながりにくくなります。
料金、営業時間、配送方法、予約方法など、利用者が知りたい情報を適切な場所に置く必要があります。
スマートフォンで文字が読みやすいか、ボタンが押しやすいか、フォームが最後まで送信できるかも確認しましょう。
トラブルの原因を判断しにくい
WordPressでは、更新後に表示が崩れたり、フォームが送信できなくなったりすることがあります。
原因はテーマやプラグインだけとは限りません。サーバーの設定、PHPのバージョン、メール配信、外部サービスとの連携などが関係する場合もあります。
管理画面を操作できることと、不具合の原因を調べて修正できることには違いがあります。
自分で運営する場合は、問題が起きたときに相談できる相手を決めておくと安心です。
ネットショップは「標準機能で何ができるか」を先に確認する
専用のネットショップサービスには、商品登録、カート、注文管理、決済など、販売に必要な基本機能が用意されています。
一般的な販売方法であれば、こうしたサービスを利用することで、準備の負担を減らせます。
一方で、運営を続けるうちに、次のような要望が出ることがあります。
- 商品の組み合わせで価格や送料を変えたい
- 法人のお客様だけに別の価格を表示したい
- 特殊な定期購入や予約販売を行いたい
- 店舗とネットショップで在庫を連携したい
- 名入れや加工内容によって注文項目を変えたい
- 社内の受注管理システムと連携したい
これらが標準機能で実現できるかは、サービスによって異なります。
追加アプリや有料オプションが必要な場合もあれば、独自開発や専門知識が必要な場合もあります。サービスの仕様上、希望する形では実現できないこともあります。
ショップを作り始める前に、「何を売るか」だけでなく「どう売るか」まで整理しておくことが大切です。
WordPressを使えば必ず簡単に解決できるわけでもありません。自由に開発できる範囲が広がる分、検証や保守の負担も増えます。
カード決済は、サイト完成と同時に使えるとは限らない
専用サービスは決済を導入しやすい
ネットショップ専用サービスでは、決済機能があらかじめ組み込まれていることが多く、個別にシステムを開発する負担を抑えられます。
ただし、申請や本人確認、決済方法ごとの審査が必要な場合があります。
「専用サービスなら、どの商品でも、すべての決済方法をすぐ使える」という意味ではありません。販売する商品や利用条件を確認しておきましょう。
独自に構築する場合は、申請と審査の期間を見込む
WordPressなどでネットショップを構築し、決済サービスを個別に契約する場合は、申請、審査、接続設定、動作確認などが必要になります。
決済事業者が確認できるよう、商品情報や販売条件など、サイトの内容をある程度整えてから申請・審査へ進む場合もあります。
例えば、ヤマト運輸のネット決済の案内では、申し込みから利用開始までの目安は約4週間とされています。ヤマト運輸「ネット決済 ご利用開始までの流れ」
これは、すべての決済サービスに共通する期間ではありません。利用するサービスや審査状況、修正の有無などによって変わります。
「サイトができたので、明日からカード決済で販売する」という予定では間に合わない場合があります。
開店日が決まっている場合は、制作の初期段階で決済方法を決め、申請に必要なページや導入期間を確認しましょう。
また、自分でショップを運営する場合でも、カード情報を自社サイトに保存する仕組みを安易に作るのではなく、決済事業者が提供する連携方式を利用し、必要な安全対策を確認することが重要です。
ショップは公開後の運営業務も考える
ネットショップは、商品を掲載して公開すれば終わりではありません。
注文への対応、在庫確認、梱包、発送、キャンセルや返品、お客様からの問い合わせなどが発生します。
便利な機能を追加する場合も、それを誰が管理するのかまで決めておく必要があります。
例えば、実店舗とネットショップの両方で販売する場合、在庫の反映が間に合わず、売り切れの商品を受注してしまう可能性があります。
デザインや開設費だけでなく、日々の仕事に無理なく組み込めるかも、サービス選びの基準になります。
「プロに依頼する」とは、何を頼むことなのか?
ホームページ制作のプロにも、それぞれ得意分野があります。
デザインを得意とする人、文章や情報整理を得意とする人、テンプレートを使って効率よく制作する人、プログラムを開発する人、サーバーや保守を担当する人などです。
ひとりで複数の分野に対応する場合もあれば、チームで分担している場合もあります。
「ホームページを作れます」という説明だけでは、どこまで対応できるかは分かりません。

デザインとプログラム開発は、異なる専門分野
デザインでは、お店の雰囲気を伝えること、情報を読みやすく整理すること、操作しやすい画面を作ることが重要です。
プログラム開発では、入力内容の処理、データの保存、会員機能、外部サービスとの連携などを扱います。
どちらもサイトに必要な仕事ですが、デザインが得意だからプログラムの不具合にも対応できるとは限りません。逆に、開発が得意でも、文章や写真を含めた見せ方は別の担当者が担うことがあります。
必要なのは、依頼内容に合った専門性がそろっていることです。
テンプレートを使うこと自体が問題ではない
テンプレートは、制作期間や費用を抑えるために役立ちます。目的に合うものを適切に使えば、十分に使いやすいサイトを作れます。
確認したいのは、テンプレートの設定範囲を超える要望や、不具合が出たときにも対応できるかです。
標準機能の範囲で制作する契約なのか、コードの修正や独自機能の開発まで含まれるのかを、依頼前に確認しましょう。
HTML・CSS・JavaScript・PHPの理解は、どこで必要になる?
WordPressの制作や改修では、次のような技術が関わります。
| 技術 | 主な役割 | 関わる作業の例 |
|---|---|---|
| HTML | ページの構造を作る | 見出し、本文、リンク、フォームの構造 |
| CSS | 見た目を整える | レイアウト、文字、余白、スマートフォン表示 |
| JavaScript | ブラウザ上の動作を制御する | メニューの開閉、画面の切り替え、入力補助 |
| PHP | サーバー側で処理を行う | WordPressのテーマやプラグインの処理 |
テンプレートの設定だけで済む制作であれば、すべてを独自に開発する必要はありません。
一方で、独自機能の追加や不具合の調査を依頼するなら、関連する技術を理解し、安全に修正できる担当者が必要です。
また、言語を知っているだけで、セキュリティやサーバー障害への対応まで保証されるわけではありません。
依頼する側が技術試験をする必要はありませんが、「この機能を変更できますか」「更新後にエラーが出た場合、どこまで調べてもらえますか」と、具体的な作業で確認すると分かりやすくなります。
公開後の保守やトラブル対応まで確認する
制作と保守は、別の契約になっている場合があります。
「作ってもらったのだから、何かあれば対応してもらえる」と考えていると、実際の契約範囲との違いが生じます。
特に、次のような場面に誰が対応するのかを確認しておきましょう。
| 確認すること | 具体的に聞いておきたい内容 |
|---|---|
| WordPressの更新 | 本体・テーマ・プラグインの更新を誰が行うか |
| 更新後の不具合 | 表示崩れや動作停止の調査・修正が含まれるか |
| バックアップ | 取得だけでなく、復元にも対応するか |
| セキュリティ | 予防設定、監視、被害発生時の対応範囲 |
| フォームやメール | 送信エラーや未着の原因を調べてもらえるか |
| サーバートラブル | 設定確認やサーバー会社への問い合わせを支援するか |
| 決済の不具合 | サイト側と決済サービス側の問題を切り分けられるか |
| 対応時間 | 受付時間、初動の目安、休日や緊急時の扱い |
| 追加費用 | 保守料金に含まれる作業と、別料金になる作業 |
サーバー会社の設備障害など、制作担当者だけでは直せない問題もあります。
その場合でも、原因を切り分け、必要な窓口につなぎ、復旧後の動作を確認できるかは重要です。
また、「監視している」ことと「異常があればすぐに修復する」ことも同じではありません。監視内容と対応内容は分けて確認しましょう。
プロに依頼しても、集客や売上が保証されるわけではない
プロに依頼すると、目的に合った構成やデザイン、必要な機能、更新しやすい仕組みを整えやすくなります。
ただし、公開しただけで検索順位が上がったり、注文が増えたりするとは限りません。
商品やサービスの魅力、価格、写真、説明、情報更新、広告やSNSなど、公開後の取り組みも関わります。
WordPressを使うだけでSEOに強くなるわけでもありません。利用者に役立つ情報を、読みやすく、検索エンジンにも理解されやすい形で整えていく必要があります。
制作を依頼するときは、サイト制作、SEOの初期設定、記事作成、広告運用など、何が含まれているのかを確認しましょう。
自作と外注を組み合わせる方法もある
すべてを自分で行うか、すべてをプロに任せるかの二択にする必要はありません。
例えば、次のような分担もできます。
| 自分で担当すること | プロに依頼すること |
|---|---|
| お店の情報や商品の説明を用意する | ページ構成や見せ方を整える |
| 写真や資料を準備する | デザインやスマートフォン表示を調整する |
| お知らせや商品情報を更新する | 更新しやすい管理画面を作る |
| 日々の注文や問い合わせに対応する | 決済や外部サービスとの連携を設定する |
| 運営上の困りごとを整理する | システムの改善や保守を行う |
基本部分は専用サービスで始め、難しい設定だけ相談する方法もあります。
最初にプロへ構築を依頼し、公開後の情報更新を自分で担当する方法もあります。
自分が得意なことに時間を使い、専門知識が必要な部分を任せることで、運営を続けやすくなります。
制作を依頼する前に、契約と引き継ぎを確認する
技術やデザインに加えて、サイトを継続して使える状態で引き継げるかも大切です。
- ドメインやサーバーは誰の名義で契約するのか
- 自分が管理画面にログインできるのか
- 文章や画像、商品データを取り出せるのか
- 独自開発した部分の資料は残るのか
- 有料テーマやプラグインの更新費用は誰が払うのか
- 保守を終了した場合、何が使えなくなるのか
- 別の制作会社へ引き継ぐ際に協力してもらえるのか
月額料金が安く見えても、契約期間や解約条件によって総額は変わります。
見積もりでは、制作費だけでなく、運営費、保守費、追加修正、将来の移行まで確認しましょう。
自分のお店に合う方法を選ぶために
無料サービスは、小さく始めたいときや、標準的な機能で十分な場合に役立ちます。
WordPressなどのCMSは、独自の構成や機能、継続的な情報発信を考えるときに選択肢になります。ただし、自由度に応じた管理と保守が必要です。
プロに依頼する場合も、見た目の制作だけを頼むのか、プログラム開発や公開後の運用まで任せたいのかによって、適した依頼先は変わります。
選ぶ前に、次のことを整理してみてください。
- 誰に見てもらい、何をしてもらいたいのか
- 今必要な機能と、将来追加したい機能は何か
- いつ公開し、いつ販売を始めたいのか
- 制作と運営に、どれだけ時間と費用を使えるのか
- 不具合やサービス終了の際に、誰が対応するのか
「今すぐ作れるか」に加えて、「無理なく運営し続けられるか」まで考えることが、ホームページやネットショップ選びでは大切です。
ホームページやネットショップの制作で迷ったら、お気軽にご相談ください
「無料サービスで十分なのか」「WordPressが合っているのか」「自分で作るか、プロに依頼するか」など、迷ったときはお気軽にご相談ください。
作りたいサイトやお店の内容、ご予算、公開後の運営方法を伺いながら、目的に合った方法を一緒に考えます。まだ具体的に決まっていない段階でも大丈夫です。
ご相談は無料です。 新規制作だけでなく、現在のサイトの改善や、運営で困っていることもご相談ください。
